2016年05月20日
断捨離の陶芸窯
里子に出されて我が家に来た陶芸ガス窯。
友人の窯だが、陶芸ブームの頃自宅に揃えた陶芸設備。
高齢になって、奥様から、止めて窯を片付けてくれと言われたという。いわゆる断捨離と云う訳だ。そう云う訳で電話が掛かってきた。然し窯の中にまだ釉掛けした作品が、本焼せずに詰めてあった。「此れだけ焼かせてくれ!」と奥さんに頼んで諦めようと決心したらしい。ところが、温度計が故障して使えないと言うので、私の温度計を持って行き、焼き上げた。「良く焼けた!」と言い、ふっ切れたようだ。 片付けに行き、窯を運び出した時はとても淋しい顔をしていた。私の妻に「窯を待っていかれ、一生恨んでやる!」と淋しさを吐露していたとの事。
当初、私の家に持ってゆくので、欲しい人に処分して貰ってくれと言う事だったが、私自身が片付けに行く事になった。
引き受けたのは良いが、現場を視たら、簡単には片づけられる場所では無かった。窯を据え付ける時も、隣の畑を借りて、クレーン車を乗り入れて入れたらしい。出す時もその様にせねばならない訳だ。
自分でレンタリースの4t車を借りようとしたが、今はクレーン免許が無いと借りられないとの事。仕方なく運送会社に依頼した。車が畑に入れるように地ならしをして、車輪が嵌まり込まないようにと、建築廃材柱を沢山持って行き、準備した。クレーン車がやっとの事セット出来て、運び出そうとしたら、専門業者なのに小道具を何も持ってこなかった!参ったね!
念のため自分で最低限の道具を用意して持参したので、自分で小屋から出すことになった。200㎏と見たが、300キロは有りそうであった。
やっとの事で小屋から出して、クレーンで吊り上げて車に積むことが出来た。クレーンのアームがぎりぎりの距離だったのでかなり運転手が疲れたようだ。
畑の持ち主には、私の焼き締めの壺をお礼に差し上げて、原形復帰には妻や弟子を残して、私は帰宅。トラックを待った。下す時は簡単に下した。小屋に入れる所まで業者にしてもらう予定であったが、道具を何も持って来なかったので、自分たちで搬入する事になってしまった。たやすい事では無かった。狭い所からコロを使って運び入れたが、皆ハアハア言いながら据え終わった。
この頃急激にその様なパターンでの片付け依頼が寄せられる様になった。私も余るほどの設備がしてあるので、必要ないのだが、頼まれると遂、いい顔をしてしまい、それをまた処分するのに、弟子たちに押し付ける事になってしまう。
里子に来た窯だから、大事に育てて上げます。